知 事 答 弁

 私のさきほどの答弁に多少誤解があったのではないかと思いますけれども、寝ずに頑張っ
ているのだから、私以上に寝ないで頑張れと言ったつもりは毛頭ありません。そうではなく
て、涼しい顔をしているように見えるかもしれませんが、本当は心配で夜も寝られないほど
の財政状況なのですよということを申し上げたのが1つであります。

 もう1つは、県は睡眠時間と関係なく行政改革をやっております。財政改革をやっておりま
す。透明性を高める努力もやっております。市町村もそういうことを精一杯やられるべきで
はないでしょうかということで、睡眠時間が私より多いからけしからぬといったようなことは、
そんなことはないのであります。私も睡眠時間はたっぷりとっておりますので、むしろその方
がいい仕事ができるだろうと思います。

 決して批判をしたわけではなくて、安田議員が県の方が余裕があるでしょう、その県だけ
が生き残って、あとばたばたというのではどうなのですかと言われるから、県は決して余裕
がありませんよ、精一杯血のにじむ努力をしています、だから市町村も規模は小さいですけ
れども、規模の小さいなりに精一杯の改革の努力をしてくださいということをお願いを言った
わけであります。

 県の方が規模が大きいのだから楽でしょうと言われますと、それはやっぱり違うのです。
財政の規模は大きいです。何十倍もありますけれども、ですけれども、やる仕事もいっぱい
あるわけです。エンゲル係数に例えられましたけれども、家庭の人数が全然違うので、県の
場合には超大家族であります。やはりそれなりの財政が必要なのであります。

 経常収支比率、すなわち家計でいえばエンゲル係数に例えられましたけれども、エンゲル
係数が高いから財政が悪い、厳しいというのは、必ずしもそうでもないのです。といいますの
は、経常収支比率というのは、臨時的な経費を使っていないということなのです。といことは、
例えば公共投資とかハード事業を全部やめれば、エンゲル係数は非常に高くなるのです。
借金を返して、給料を払っているだけにすれば、エンゲル係数は100になるのです。では、
財政は厳しいかというと、ハード事業を何もやらなければ財政は非常に楽であります。だか
ら、経常収支比率というのは財政の厳しさを言うのではなくて、財政の質の問題を言ってい
るわけで、人件費ばかり払って投資的経費に使っていないのではないかという一昔前の財
政の分析の手法でありまして、経常収支比率が高いから厳しいというのは、そういうケース
もありますけれども、一般論としてはそれは必ずしも言えないのではないかと思います。

 合併について、安田議員と私とは考え方が違うかもしれないとおっしゃいましたが、私は
合併に反対しているわけではないのです。そうではなくて、今政府が推し進めてきた合併の
やり方は批判しています。本来は自治体の質を向上させる取り組みをしなければいけない。
それは透明性であったりチェック機能であったり。それをしないで、全くそういうところに手を
つけないで、ひたする大きくなりなさい、何でも大きくなりなさい、大きくなったところは優遇
しますよというそういうやり方は、やはり真っ当ではないのではないかということを批判して
きたわけであります。ですから、自然体で、本当に合併が必要だというところは合併をした
らいいと私は思います。また、そうなっているだろうと思います。

 そういう意味で、私はいろんな発言をしたのが、要らざる波風を立てたということをおっしゃ
られましたが、しからば何も気のついたことも言わないで、政府の私にとってみれば野蛮な、
規模さえ大きくなればいいという、ああいうことだけで物事が進んでいくのがよかったのかど
うかということは、私は危惧をいたします。政府の言っていることは決して正しくないのです。
といいますのも、なぜ合併しなければいけなくなったかといえば、借金をし過ぎたわけです。
何で借金し過ぎたかといったら、政府のしり馬に乗ったからです。景気対策でやりなさい、
単独事業をやりなさい、後で面倒見ますよといって、面倒見切れなくなって、昔の事は口を
ぬぐって合併しなさいと言う。私はこれは道徳的ではないとおもうのです。そういうことを指
摘しているわけで、私のこの発言、考え方に賛意を示してくださる方は随分多いのです。規
模の小さい町村に行けば行くほど。そういう気がついたことはやっぱり言わなければいけな
いので、それで波風が立つというのは、私は立ってもいいのではないか、大いに議論したら
いいと思っておりました。

 ということで、合併した市町村にメッセージをということでありますが、これは合併する市町
村にも単独で自立して頑張っていく市町村にも同じことであります。それぞれ地域の住民の
皆さんの意思を尊重して、ずれのない、むだのない効率的な市町村運営をやってくださいと
いうことに尽きると思います。

 ただ、あえて合併市町村へということでありますから、合併市町村に対するメッセージとし
ましては、ともすれば合併したところは、どうしても役所が縁遠くなります。広くなれば距離感
も出てきます。物理的な距離もありますし、心理的な距離感もあります。そういうことをでき
るだけ解消するような努力をしていただきたい、工夫をしていただきたい。特に周辺部への
目配りをやっていただきたい。どうしても人口が集中した中心部に目が向きそうになります。
そうではなくて、遠いところ、そういうところに意図的に故意に目配りをするという、それぐら
いのつもりでいてやっとバランスがとれるのではないかと思っております。

 もう1つ、これもメッセージでありますけれども、さっきの政府の優遇策がありますので、大
きくなったらお徳ですよという、グリコのおまけがふんだんについております。おまけに目が
くらまないようにしてもらいたいと思うのです。おまけもやっぱり借金です。後で面倒見ると
言いますけれども、本当でまた面倒見てくれるのでしょうか。どうやって面倒見るのでしょう。
そのころ増税をするのでしょうか。それとも自然増収が続々出てくるのでしょうか。どうなの
ですかと私は政府の人に聞いても、答えがありません。ということは、そのうち何とかなるの
ではないですかというようなことだろうと思うのですけれども、そういう代物でありますから、
余りそういうグリコのおまけには目がくらまないようにしていただきたい。

 もう1つは、昭和30年代の合併のときに、当時の地域の伝統とか文化とか行事とか祭り
がすーっと消えていっております。やはり合併するとそうなりやすいのです。今次の合併で
は決してそうならないように、今まで旧町村で、もとの町村で継続してきた地域のよき伝統
文化、芸能、行事、そういうものを、新しい自治体になってもぜひ継承し、後世に伝えていた
だきたい。

 こういうメッセージを私は合併された市町村には送っているのであります。祝福になったか
どうかわかりませんけれども、率直なところを申し上げました。





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